Germany

ドイツ

Page2
-バウハウス・デッサウ-

デザインに興味を持つと、いつしか耳慣れてくる「バウハウス」という単語。今でもバウハウスの哲学に感化され、その潮流を取り入れながらものづくりをするデザイナーは各所いるように感じます。とは言っても、一口に「バウハウス」と聞いても、一体それが何を意味するのか、このバウハウス・デッサウを訪れるまで、私はよく理解できていませんでした。
「バウハウス」とはそもそも、第一次世界大戦の後、ドイツ中部のヴァイマルという場所に設立された美術学校の名前を指します。そこでは工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行っていました。教育システムとしては、基本的な教育と合わせて、実技コースがあったようです。石工、木工、金工、陶芸、ガラス、色彩、テキスタイルなど細かく専門分野に分けられ、それぞれに英語でいう”workshop”、つまり工房のようなものがあり、そこにいるマイスターたちの元で生徒たちは教育を受けていました。バウハウスの教育思想、目指したものは、全ての芸術を総合すること。工房で専門分野を深く学び、それらを相互に結びつけることで体系的な芸術の学びを得る。今でこそ、デザインや芸術は様々な分野と結びついて、日々大きな力を持って来ているように感じられますが、まだまだデザインや芸術が体系的なものとして確立されていなかった当時、それらを一つの学校で専門的かつ体系的に学ぶということは、今から考えると非常に革新的な場所だったのではないでしょうか。

今なら聞くだけでもワクワクするような、魅力的な「学び」を体現していた学校。しかし皮肉にも当時の時代の潮流には浸透せず、ナチスの勢力によってわずか14年で閉校を迎えたのです。

わずかな期間だからこそ、そこに生まれ、根付いたものは鮮烈なものだったのかもしれません。その一瞬の中に色濃い哲学を残したその美術学校のデザインは、存在した14年という時間を優に超え、100年近い歳月を超えて、今も私たちの周りのデザインに強く根付いているのです。

と、少し熱く語りすぎてしまいましたね。笑
今もドイツのデッサウには、バウハウスのデッサウ校舎が存在します。(閉校後も残った校舎は第二次世界大戦で被害を受け、その後1996年にやっと本格的な修復がされたそう。)
コンクリートと全面のガラスでできた建物は、今でも近代的でスタイリッシュに見えます。ガラスから注ぎ込まれる光と真っ白な箱のような空間。何かが生まれそうな、非常にワクワクする空間でした。

ちなみに現地では日本語の音声ガイドも借りることができます。私はほぼ1日音声ガイドを聞きながら、バウハウスの哲学にのめり込んでいました。笑
バウハウス校舎の中には劇場もあり、デザインの範囲が演劇にまで及んでいたことがわかります。コスチュームのデザインも近代的でとても面白い!

写真元:https://thecharnelhouse.org/2013/07/20/theater-buhne/

知れば知るほど興味深い、デザインの実験的な組織体系のプラットフォームとなった場所。ベルリンに訪れる機会があれば、そこから電車で2時間ほどなのでご興味のある方は是非。