Germany

ドイツ

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-コロンバ美術館-

ドイツでなんとも建築の持つ力に驚かされたのが、ケルンにあるコロンバ美術館。スイス人の建築家ピーター・ズントーの作品です。彼の特徴は何と言っても素材に対する知見と感覚。2008年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞していますが、その際には” 建てる「場所」と「用途」に真摯に向き合い、ふさわしい「素材」選びに労を惜しまない。「オーダーメードのような建築」にこだわる。”と評されています。
参考:http://www.praemiumimperiale.org/ja/component/k2/zumthor

コロンバ美術館の正式名称は、聖コロンバ協会ケルン大使教区美術館。第二次世界大戦で破壊された教会の残存部分を元にピータ・ズントーが巧みに美術館設計を行っています。古い教会をそのまま建物の一部として溶け込ませるように設計された外観。外壁はレンガで仕上げられており、古い教会部分の上部に積まれたレンガは透かし積み。隙間から入る光が教会内部に細かな光を落とす。歴史ある教会と美術館が一つの建物の中に共存する、なんとも不思議で素敵な空間です。
美術館部分の内壁は漆喰仕上げで、ミニマルで洗練された空間の中に暖かさを与えます。シンプルな空間ですが光の取り入れ方、使い方が巧みで、宗教的空間の持つ独特な雰囲気と建築が絶妙に融合されているなと感じました。

建築とは、ただ新しい建物を作ることではなく、時に歴史的な記憶を人々の中に残すための空間・瞬間を作ることなのだと気づかされる、そんな美術館でした。もしケルンに行く機会があれば、ケルン大聖堂ももちろんですが、コロンバにも足を運んでみてはいかがでしょう。